2023年12月5日 実質賃金引上げを実現しよう! 物価抑制・最賃&公務員賃金引上げこそ その1
2023年12月5日
実質賃金引上げを実現しよう! 物価抑制・最賃&公務員賃金引上げこそ その1.docx
第一回は、●まず異常な高騰が続く消費者物価水準を検証 ●消費税の大幅減税こそ物価抑制の特効薬 ●賃金引上げにはまずは時給1500円以上の全国一律の最賃制度の実現を ●賃金引上げも日本経済再生のためにも中小企業を守れ! ●経産省の統計でも中小企業はまさに日本経済の要ではないか
東京国家公務員・独立行政法人労働組合共闘会議 事務局長 植松隆行(元東京税関上席調査官)
まず異常な高騰が続く消費者物価水準を検証
以下の表は総務省・統計局の統計資料に基づくものです。まずは以下の表で物価高騰の実態を確認しましょう!
*用語 「持ち家を除く総合」とは・・・・「持ち家除く総合指数」が、実質賃金計算に使う消費者物価指数です。
これは、持家を借家とみなした場合支払われるであろう家賃(これを「持家の帰属家賃」といいます。)を消費者物価指数に算入しています。
その帰属家賃を除いた総合の消費者物価指数が、実質賃金を計算する場合に使われます。
物価上昇はもう2年以上続いていて、対前年同月比では26ヶ月連続して上昇しています。対前年同月比2%以上の上昇は19ヵ月連続です。 なお3%以上は9月時点で12ヶ月連続して続いていました。直近の統計数値(2023年10月)は、2020年の物価平均を100とした場合、物価指数は107.1というすごい数値になっています。
私はこの間たくさんの女性団体や消費者団体の皆さんの集まりで、物価問題をお話させていただいていますが、その中で「物価上昇が3%~4%というのは信じがたい。感覚的には10%の上昇」という発言をよく耳にします。直近の10月統計で、食料は対前年同月比8.6%の上昇ですから、毎日の買い物での感覚ではまさに10%と感じるのはよく理解できまます。
消費税の大幅減税こそ物価抑制の特効薬
私は物価抑制の特効薬は消費税の大幅減税(まず半減)と考えます。物価上昇に関わっては、激しい物価高騰が続いていますが、一方で「上流」での物価高騰分を、「下流」(小売店や食堂・居酒屋など)では反映できない状況も見られ、一律ではありません。従って物価抑制には消費税を大幅に減税するのが一番と考えます。税収が減る分は資本金10億円をこえる大企業の内部留保(7月~9月の法人企業統計)は、527兆7千億円という膨大な額であり、これに一定期間課税することを主張します。
賃金引上げにはまずは時給1500円以上の全国一律の最賃制度の実現を
物価を抑制しつつ、労働者全体の賃金を引き上げるには、労働組合としては時給1500円以上の全国一律最賃制度の実現を最重点に置くべきです。時給1500円以上の全国一律最賃制度を実現して全体の底上げを実現させましょう!
現在最低賃金は、最高が東京都の時給1,113円、最低は岩手県の893円です。地域間格差が220円もあります。
OECDがまとめた調査結果(「2021年・年間労働時間」-2022年7月20日データ更新-)よると、日本の全就業者平均の1人当たり年間実労働時間は1,607時間ですが、東京と岩手の最賃格差は年間で353,540円、月では29,462円にもなります。これでは、日本国内での地域間格差は益々広がるばかりです。私たちは「何時、何処で、誰が、どんな仕事をしても」、時給換算で最低1500円は「賃金として受け取れる」制度実現を求めます。なお全国加重平均は時給1004円です。
賃金引上げも日本経済再生のためにも中小企業を守れ!
この間、官民共同行動実行委員会(全国一般東京、JMITU東京、全印総連東京、千代田区労連、東京国公で構成)は、経営の側(中小零細企業)との懇談も積極的に進めてきました。ほとんどの中小企業経営者は、「最賃1500円は賛成だが当社には支払い能力がない」との「嘆きとぼやき」を寄せてきます。それもそのはずです。国税庁の「統計法人税表」によると、中小企業の約7割が赤字経営ということでです。
従って岸田首相が「賃上げ企業には『減税』(数値は不詳)する」を口にしてみたところで、そもそも減税の恩恵にあずかれないのが中小企業経営実態です。
中小企業への予算はほんの微々たるものです。22年度の国の予算で見ると、金額にして1,713億円、僅か国家予算の0.25%という水準です。私は少なくても1兆円を超える予算を立てて、社会保険料等は大幅に負担軽減する措置をとることが必要だと考えます。また大企業の優越的
地位を利用した「下請け単価たたき」は根絶すべきです。この間、官民共同行動実行委員会が幾度となく要請を入れるなかで、経済産業省・中
小企業庁は所謂「下請けGメン」を大増員し下請けたたきを監視しています。岸田首相は「金も人も」惜しまずつけるべきだし、メディアも積
極的に取り上げるべきです。
経産省の統計でも中小企業はまさに日本経済の要ではないか
中小企業は産業の要です。以下は経済産業省・中小企業庁の統計からの数値です。
中小企業は企業数で99.7%、従業員数では70%、製造業の付加価値の50%を占めます。従って中小企業こそ日本の産業と経済の要であり、中小企業の安定的経営を守ってこそ、国民生活を守ることに直接繋がるわけです。
【続く】第二回は女性の賃金格差是正、国家公務員賃金、非正規の正規化をお届けします。