≪国公労連人事院給与局長交渉速報≫
国公労連は23日、2020年勧告にむけた重点要求をめぐる人事院交渉(給与局長)を実施しました。冒頭、九後委員長から、10月7日の勧告で触れられなかった月例給等を中心に人事院の検討状況を質しました。交渉内容は以下の通りです。
月例給に関する報告・勧告日は来週半ばで調整中・・・勧告は10月28日以降?
「較差は相当小さいものとなるのではないか」
松尾給与局長答弁概要
1 報告・勧告について
● 月例給に関する報告・勧告日は、来週半ばで調整中である。具体的な日程は、総長会見の際にお伝えすることができると思われる。
2 月例給調査について
● 月例給の調査については、8月17日から9月30日にかけて行い、無事完了した。新型コロナウイルス感染拡大の下であったが、民間企業のご理解とご協力を得て、8割を超える完了率となった。
3 官民較差について
● 月例給の官民較差については最終的な詰めを行っているところである。
具体的状況を言える段階ではないが、較差は相当小さいものとなるのではないかと思われる。
4 本年の改定の考え方について
● 現在、月例給の官民較差については最終的な詰めを行っているところであるが、その結果を踏まえ、俸給表の改定等を行うか否か判断したいと考えている。
職員の努力と職務に相応しい、生活実態に見合った引き上げ勧告を(国公労連)
この回答に対して、国公労連側は以下の課題について主張・追及を行いました。
【1 賃金の改善等について】
○ 官民較差等について回答があったが、コロナ禍において日本経済を内需中心に回復させていくことが求められているなかで、GDPの6割を占める個人消費の拡大は必須であり、そのためにも労働者の賃金を引き上げていくことが必要である。
国家公務員の賃金・労働条件は労働者数の1割を超える約770万人の労働者に影響するといわれている。民間労働組合では、来年の春闘で要求を自粛するような動きもあると聞いている。公務員の賃上げがない、もしくは引下げとなれば要求控えなどがいっそうすすみ、来年の賃上げにむけても悪影響が及ぶことも考えられ、経済がしぼんでいくという負のスパイラルに陥ってしまう可能性も否定できない。官民比較の結果も賃金水準決定の重要なファクターであることは承知しているが、これらを踏まえると生活改善できる政策的な賃上げが必要であるし、その実施を求めたい。
前回の交渉で賃上げには「国民の理解が得られるかどうか」ということであったが、国会議員へのバッシングはよく耳にするが、新型コロナウイルス感染症への対応やあいつぐ自然災害への対応で奮闘する公務員へのねぎらいの言葉などはあっても、批判は聞こえてこない。
職場で国民のいのちやくらし、権利をまもるために昼夜を問わず奮闘している職員の努力と職務に相応しい、そして生活実態に見合った本俸の引き上げ勧告となるよう最後まで努力を求める。
○ 仮にプラスの較差が出た場合の配分については、初任給の官民格差と最低賃金を下回るような水準となっている状況に鑑みれば、初任層の改善への配分は当然であるし、「給与構造改革」や「給与制度の総合的見直し」などで、労働条件が引き下げられてきているにもかかわらず、職場の中心となって奮闘している高齢層職員にも配分すべきと考える。同時に、再任用職員をはじめすべての職員の生活が改善されなければならないと考えており、広範な層での賃金改善を求めたい。
一方、マイナスの較差が出た場合は、「相当小さいもの」となることや前述した影響などを鑑み俸給表の改定は見送ることを求める。
○ この間、要求してきた諸手当について触れられなかったのは不満である。最終交渉までの間で、あらためて諸手当改善の検討を求めたい。
【2 非常勤職員の処遇改善について】
○ ご案内のとおり、先日郵政労働契約法20条裁判の最高裁判決が出され、住居手当、扶養手当、有給の病気休暇など、正社員と非正規社員の不合理な格差が断罪された。これによって、当然ながら民間企業において格差是正がすすめられていくことは自明の理であり、今回の勧告(報告)で国の非常勤職員にも寒冷地手当をはじめとする生活関連手当等を支給するとともに、病気休暇の有給化などを打ち出すべきではないか。そのことが公務・公共サービスの充実にもつながるものだと考える。
以上のあと松尾給与局長から以下の再回答・コメントがあり、さらにやりとりを行いました。(●…人事院、○…国公労連)
● これまでの繰り返しにはなるが、人事院としては民間給与の実態の精確な把握につとめるとともに、国家公務員法に定める情勢適応の原則にもとづいて引き続き適切に対処していきたい。
国家公務員給与の景気や経済に与える影響について様々な議論があるということは承知しているが、人事院の役割はそういったものを考慮した政策的な賃上げを行うということではなく、精緻な調査で得られた結果にもとづいて社会経済情勢に適応した公務員給与を実現することであろうと考えている。そうしたことによって、公務員の処遇を適正に確保していくということになると考えている。今回のコロナの感染拡大のもとでも8割を超える企業のご協力をいただいて、しっかりと調査を行うことができたところであるのでこの結果にもとづきキッチリと最終的な数字を出していきたいと考えている。
● 官民較差の配分については、現在最終段階での詰めを行っているところであり、俸給表等の改定を要するほどの較差が出た場合にはプラス・マイナスにかかわらず、その結果にもとづき必要な措置を講じてまいりたい。
● 手当については較差の程度によるので、ここでのコメントは差し控える。
● 非常勤職員の処遇については、最近2例の最高裁判決が出たことは承知している。民間法制の適用に関する裁判所の判断なので直接国家公務員に影響を与えるものではないが、我々としても判決の内容をこれから精査していくとともに民間における同一労働同一賃金などのとりくみの動向も注視しつつ引き続き常勤職員の給与との権衡を確保しうるようとりくんでいきたい。
○ 我々は社会情勢を見て判断すべきだと主張してきたが、この間、週休2日制など公務が先行・先導してきたものもある。郵政の判決も民間と違うということはあるにせよ、世間的には公務職場にも非常勤職員がたくさん働いていて格差があることは認識されている。そういう点でいうと民間準拠一辺倒ではなく全体情勢の判断をして英断をしないといけないときもあるのでは