2019年人事院勧告 国の非常勤職員問題にかかわって
国の非常勤職員に夏期休暇、、、しかし均等待遇には遠し、、、運動の一定の成果だが、、、手当格差などはゼロ回答
8月7日の人事院勧告で、人事院は非常勤職員の処遇改善について、夏季休暇の新設を打ち出しました。(厳密には「勧告」ではなく「公務員の人事管理に関する報告」の中で、「民間の状況を踏まえ、新たに夏季休暇を設けることとする」としたものです)
東京国公はたくさんの民間労組の皆さんの支援もいただきながら、均等待遇を基本要求に据えて、国の非常勤職員の労働条件改善を求めて運動してきました。夏季休暇の新設は昨年の結婚休暇に続いて勝ち取ったもので、その限りでは運動の成果とも言えますが、解決すべき問題は山積しています。
病気休暇など「無給休暇」の有給化や生活関連手当(住居手当、寒冷地手当など)の支給など均等待遇の実現や更新時の公募の撤廃についてはゼロ回答でした。
この点で東京国公としては、人事院は労働基本権制約の代償機関としての責任を果たさなかったと評価せざるを得ません。
「働き方改革」一括法によって、正規労働者と非正規労働者の不合理な待遇差が禁止され、待遇差の内容や理由について説明義務が使用者に課せられます。これにあわせて「同一労働同一賃金ガイドライン(指針)」も公布されており、いかなる待遇差が不合理となるのか、原則となる考え方と具体例が示されました。しかし、今年の人事院勧告・報告では、国家公務員にかかわる格差是正・均等待遇に関する考え方は示されませんでした。
国の非常勤職員と常勤職員には、休暇制度の格差をはじめ、住居手当などが不支給となっており、均等待遇にはほど遠いのが実態です。私たちはこの『不合理』な休暇や手当の格差について、すみやかに是正することを求めますし、まずはこの『不合理性』を説明する義務が人事院にあると考えます。
さて非常勤職員の皆さんにとっては、雇用の安定・無期雇用化は最も切実な要求です。昨年4月から民間の有期雇用労働者には労働契約法の「無期転換権」付与が始まっていますが、国の非常勤職員には無期転換制度がいまだにありません。人事院勧告・報告では、契約更新時の公募要件の撤廃や無期雇用化など雇用の安定化措置については全くふれませんでした。国の非常勤職員は国家公務員であり、一般労働法は適用されないといいますが、それなら一般労働法の趣旨に従って国公法や人事院規則を変更すべきです。東京国公は引き続き非常勤職員の労働条件の改善に向け全力を尽くすことを表明するものです。⦅この問題での皆さんからのご意見をお待ちしています⦆ 2019年8月21日掲載
常勤職員と非常勤職員との主な休暇制度の待遇差 |
| 常 勤 職 員 | 非 常 勤 職 員 |
年次休暇 | 20日 | 6ヶ月経過後最大10日 |
病気休暇 | 90日 | 10日(無給) |
夏季休暇 | 連続する3日 | ナシ |
産前産後休暇 | 6週(多胎14週)・8週 | 常勤と同じ(無給) |
子の看護、短期看護休暇 | 1年に5日 | 常勤と同じ(無給) |
*注 制度対象となる非常勤職員には勤務日などについて要件あり。 |
同一労働同一賃金ガイドライン全文⇓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html