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HPは、基本的には毎日更新しています。その日又はその前日の最も労働運動として重視すべきと思われる情報を掲載しています。
組合員の皆さんには日刊紙を
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情報は相当部分が政府や民間調査機関の調査統計結果を掲載しています。必要な方はご自由にお使いください。
               

2023年2月3日(金)着 投稿岸田軍拡止暴走を止めよう! 署名に賛同!S・H生」⤵カルフールを開いてください⤵

 

整理番号21-29 投稿東京国公OBから(11/23掲載)

投稿 東京国公OBから

あの2年前の日常にもどりたい

コロナ新規陽性者東京で6人、35県「0」だが

 昨日(1122日)のコロナ陽性者は東京で6人です。新聞やTVは「新規感染者」と発表していますが、正しくは陽性者です。都も厚労省もHPでは「陽性者数」と発表していますのでいわゆる感染者は「0」と言ってもいいでしょう。また重症者は昨日時点で東京では8人です。さらには35県で新規陽性者は「0」です。12県で新規陽性者は50人です。

 「数」的にはもうコロナは撲滅状態と言っても過言ではありません。しかしメディアや「専門家」と言われる方々は「第六波」を強調するのみで、医学的知見や科学的論拠をもっての見通しは全くなく、不安は続きます。

 この約2年間は「恐怖」を煽られ続け、「自粛、自粛」を強要され、私の周りではコロナ解雇や事業の閉鎖が相次ぎ、77年の人生で最も暗く不安定な2年でした。私個人では旅行も出られず、孫たちにも会えず、寂しい2年間でした。早くあの日常に戻りたいと思っています。東京国公の皆さんには、コロナ禍で困窮する労働者・国民を守るために大いに奮闘してもらいたいと思います。

 

 

58-158 霞が関の残業問題で各党国対委員長に要請・懇談(9/27掲載)

9月27日、「霞が関の長時間残業の抜本改善=国家公務員の働き方改革」で与野党国会対策委員長(共産・穀田恵二、自民・森山祐、立憲・安住淳)に要請、懇談

 

本日(9月27日)東京国公は、霞が関の人員不足と長時間残業の抜本改善を求めて、国公労連と共同して、日本共産党国会対策委員穀田恵二衆議院議員、自由民主党国会対策委員長森山祐衆議院議員、立憲民主党国会対策委員長安住淳衆議院議員の順に要請懇談をおこないました。国公労連からは川村副委員長・門田書記、東京国公からは添田副議長・植松事務局長、全経済本部から鈴木書記長、全厚生本省支部から坂井執行委員が参加しました。要請内容は➀質問通告は時間外労働を抑制するために質疑の2日前までに通告してください。➁質問に関わる事項を明確にしてください。➂質問通告に齟齬をきたさないために、各委員会の開催日程を速やかに確定してください。④国家公務員の働き方改革にかかわって、懇談の場を設けてください。以上です。 
  

 

 共産党の穀田議員は「皆さんがご苦労なさっていることはよく知っている。2日前通告が確立できるよう努力したい。そのためには与党の一方的国会運営を改めさせる必要がある。国家公務員の長時間残業は根本的には業務量に見合う人員が確保されていないことだ。政府の定数削減政策については共同して反対してゆきたい。懇談の点は野党の共同ヒヤリングなど他の野党とも相談したい」と極めて前向きな発言をいただきました。自民党森山議員は「発言通告ルールを守るよう野党にも改めるよう働きかけたい。働き方改革はお膝元の国家公務員職場の改革こそ1丁目1地番だ」と理解を示してくれました。立憲民主党の安住議員は「今回の千葉での災害のように国民が苦しむ事態が起きる場合などは、緊急に政府への追及や実態把握が必要となる。従って『2日前を守れ』の要求は全面的に『分かりました』とは言えない。働き方改革はまず人員を増やし残業をなくすことだ。その前提として国家公務員の皆さんには国民のための行政の視点をしっかり持ってもらいたい」と述べ、国家公務員の仕事に関わる根本的要望も受けました。

 東京国公としては、国公労連、霞国公と連携・共同しながら、引き続き霞が関の長時間残業、働き方改革に抜本改善に向け力を尽くしたいと思います。
【以下が東京国公添田副議長の発言要旨】

・国会対応を行うのは、答弁を作成するキャリア職員だけでなく周辺資料や答弁書セット等を行う事務職員(一般職員)も同様。・霞ヶ関残業アンケート結果にもあるように、不払い残業やサービス残業が蔓延している状況にある。・与野党間で立場の違いはあるし、それぞれの状況も理解はしているが、早期の日程確定や早期通告が国会対応の改善の一助になると考えるので、引き続きお力添えをお願いしたい。

 

58- 150 最賃1500円、渋谷でサウンドデモ

現行最賃低すぎ!「全国一律時給1500円を実現しよう」と渋谷でサウンドデモ(9/13

 最低賃金が10月から全国加重平均で時給901円へ改定されるのを前に、全労連と国民春闘共闘、東京春闘共闘は13日夜、最賃を全国一律制度にして、1500円をめざそうと東京・渋谷でサウンドデモを行いました。国家公務員の初任給(高卒初任給15号俸)が最賃以下という事態が生れている中、最賃と人事院勧告を結合した闘いの強化という観点に立って、東京国公としても積極的に参加しました。

 サウンドカーからは「賃金上がらないのに、消費税10%なんて生き地獄」「最賃ギリギリの職場で、昼は100円ワンコインで菓子パン1個しか食べられない」と訴え。沿道から若者らが手を振って応援していました。今年の改定で、最賃は加重平均で874円から901円に上がり、東京と神奈川は1000円を超えましたが、沖縄、鹿児島など最下位15県は790円であり、最高の東京1,013円とは223円の地域間格差があります。ちなみに国家公務員の初任給(高卒初任給15号俸)は時給に換算すれば、わずか885円(2019916日時点)です。

 デモ出発を前に、全労連の黒澤幸一事務局次長は、「最賃の低い19県が中央最賃審議会の目安に上積みし、地域間格差を1円だが縮めた。現行の地域をランク分けする制度では地域間格差をなくす点では機能していない」と強調しつつ「私たちの調査では、普通の生活には東京の最賃でも足りない。全国一律制を実現し、1500円をめざそう」と呼びかけました。

 

最賃以下の国公労働者の給与体系は見直せ!

2019年の人事院勧告が8月7日に出されました。6年連続の給与引き上げ勧告とはいえ、月例給387円(0.09%)、一時金005カ月引き上げでは生活改善と言うには程遠いものでした。官民格差が387円ということで俸給表全体の改定はなく、賃上げは初任給と若年層を中心に配分し、一時金も人事評価を反映する勤勉手当に充てることとしています。高卒初任給を2千円、大卒初任給を1500円引き上げ、30歳代半ばまでの職員には配分を行うが、それ以降の中高年

層賃金は据え置くという結果になりました。

今回の人事院勧告が実施されると、高卒初任給は148,600円から2千円アップして、150,600円になります。時給に換算すると885円から897円となります。(52週2015時間で計算=国家公務員の単価計算基準)しかし最低賃金の全国平均(加重平均)が874円から901円に引き上げられたために、国家公務員の地域手当の支給割合がゼロから最大20%という幅があるために相当の地域で最賃割れが起きます。

  

 

58-130これが霞が関の残業実態だ!―アンケート結果で記者会見

これが霞が関の残業アンケート結果だ!―7/31記者会見

月平均残業時間は 36.9 時間、残業代の「不払いがある」との回答は 41.6%

霞が関の残業時間「過労死ライン」に 3,332 (9.8)

「疲労や精神的ストレスを感じている」が過半数超え、

「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」が 44.6

.残業の最大要因は「業務量が多いため」、次いで「人員配置が不適切」、「国会対応」

 まずはアンケート結果をご覧あれ↴ クリックしてください
霞国公第27回(2019年)残業実態アンケート結果について(最終�).pdf
霞国公第27回(2019年)残業実態アンケート結果参考資料(最終�).pdf
2019_残業アンケート取組単組表・ワースト3(最新).pdf
第27回(2019年)残業実態�アンケート調査票.pdf


 

58-119 「ぼろ雑巾」のように官僚を酷使元官房副長官の嘆き

以下の文書は、元官房副長官(経済産業省官僚出身)・松井孝治氏の毎日新聞(ニュースサイト)政治プレミアに寄稿した文書に関わる同ニュースの記事です。

国会対応に追われ深夜までの残業に追いやられる官僚の嘆きを報道したものです。こうした国会対応に関わる苦労はトップ官僚やキャリア官僚に限ったことではありません。東京国公に結集する多数の組合員も同様の日々を送っています。国権の最高機関である国会での審議が充実するよう国家公務員が汗と力を出すのは当然でしょう!しかし、まさに「ぼろ雑巾」のように酷使され長時間残業で疲労困憊に追いやられている現状はいかがなものでしょう?

国家公務員の仕事には国民の生命、財産、安全、安心を守る業務をたくさん抱えています。定員がどんどん削減される中、その本来業務他に以下の国会対応が加わり、それがまず優先されます。公務員労働者の働き方も含めて大いに議論を深めたいと思います。まずは以下の文書をお読みになり、感想を寄せていただければ幸いです。(東京国家公務員・独立行政法人労働組合事務局長:植松隆行 201971日)

官僚は「ぼろ雑巾」のように疲労困憊 元官房副長官(松井孝治氏)の嘆き≪毎日新聞ニュースサイト・政治プレミア(6/28)記事から≫

 松井孝治元官房副長官は毎日新聞政治プレミアに寄稿した。国会で与野党の論戦が繰り広げられる裏で官僚が答弁作りや野党の資料要求などの政治対応に酷使されていることを指摘し、改善を訴えた。 国会では質問する議員が前日に質問内容を通告することが慣例になっている。しかし通告時間が夜に及ぶことも多い。このため質問に対する政府答弁を作成する官僚は文字通り徹夜で資料や想定問答集などを準備する。
 国会対応は霞ケ関の仕事のなかでは最優先されるため、答弁作成を担当する部署では、ほかのすべての業務が停滞することになる。
 松井氏は「とくにさまざまな業務の最前線にいる課長補佐クラスには、ぼろ雑巾のような疲労困憊(こんぱい)の中で仕事をしているものが少なくありません」と指摘する。また、官僚の負担となる最近の新たな問題として「カメラの放列の前で罵声を浴びせかけられる」野党合同ヒアリングとその場での資料要求もあげた。
松井氏は「政治主導の中で、特に野党の一部議員の罵詈(ばり)雑言や過酷な資料要求の嵐の中で、若手職員の間でプライドが失われかけているのではないかと懸念します。これまで黙って耐えるのが美徳とされてきた霞が関において、彼らの忍耐の太い綱、その綱に束ねられている糸が一本、また一本と音を立てて切れているように思うのです」と指摘している。
 近年、霞ケ関官僚の質の低下が指摘されているが、松井氏は官僚が「国会対応をはじめとする対政治調整に取られる労力の増大」と因果関係があるのではないかと言う。 そのうえで「行き過ぎた公務員バッシングの影響もあるのか、公共人材の不足が年々深刻となっています。希少な公共人材を大切に育むどころか、その誇りを奪い、ぼろ雑巾のように酷使するようでは国家の大計を誤ることになる」訴えている。

松井氏の寄稿全文☟
松井孝治氏の政治プレミアムへの寄稿全文「官僚はぼろ雑巾か酷使は国を誤る」.docx

 

58-118 重点監督結果は労基法関係法令違反が67.3%

平成30年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表

「働き方改革」が叫ばれる中、監督実施事業所8,494事業所中の67.3%、5,714事業所で労働基準関係法令違反

以下の文書が厚労省HP文書 詳細(項目別数値や具体的事例)は本文末をクリックしてください

今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,494事業場に対して集中的に実施したものです。その結果、5,714事業場(全体の67.3%)で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち2,802事業場(33.0%)で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導を行いました。厚生労働省では今後も、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行っていきます。

【重点監督結果のポイント】
(1)監督指導の実施事業場:                                                                 8,494事業場
     このうち、5,714事業場(全体の67.3%)で労働基準関係法令違反あり。
(2)主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場] 
  ア 違法な時間外労働があったもの:                                                2,802事業場(33.0%)
    うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
       月80時間を超えるもの:    1,427事業場(50.9%)
                   
うち、月100時間を超えるもの: 868事業場(31.0%)
                   
うち、月150時間を超えるもの: 176事業場( 6.3%)
                   
うち、月200時間を超えるもの:   34事業場( 1.2%)

 イ 賃金不払残業があったもの:                                                  463 事業場( 5.5%) 
 ウ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:                            948 事業場(11.2%)


(3)主な健康障害防止に係る指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
 ア 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:  4,932事業場(58.1%)
    うち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:2,216事業場(44.9%)
  
イ 労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:                             1,362事業場(16.0%)

 

脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。

☟ここをクリックしていただければ数値の詳細や事例を見ることができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04526.html

 

 

 

58-106 東大卒・女性キャリア官僚の私が、霞が関を去った理由

真の働き方改革を考える―「女性が働くということ」

「東大卒・女性キャリア官僚の私が、霞が関を去った理由」

 ―6/4() 7:00配信 現代ビジネス―から

 官僚の激務と、その割には充実感を得られない毎日。このまま仕事を続けていくと心も体もダメになりそうな不 
 安。「女性活躍の推進」が一部のスーパーウーマンをもてはやすものになってしまっている現実が書かれています。育
 児と仕事を両立するために、実家の親に全面的に頼るか、あるいは、お金を惜しまずベビーシッターや家事支援を駆使
 するか。そのどちらかができなければ女性は「活躍」できないのか。普通の女性が、そこそこ頑張るだけでは、社会的
 に認められないのか。
 
 文中にある「環境を改善することなく、耐えて耐えて耐え忍んだ女性や恵まれた環境にある女性をロールモデルとし
 て崇めても、女性職員へのプレッシャーがますます強まるだけです。」という言葉に、強い共感を覚えます。普通の人
 が普通に頑張るだけでは評価されない職場実態を捉えた一文です。お時間があれば、ぜひご一読ください。


東大卒・女性キャリア官僚の私が、霞が関を去った理由  6/4() 7:00配信 現代ビジネス

辞めていく女性官僚たち

 私は数年前に官僚を辞め、それまで勤めていた霞が関の官庁を去りました。
 東京大学を卒業後、就職してから3年以内の早期退職でした。辞めた理由はいくつかありますが、霞が関の組織のあり方や職員の働き方についてさまざまな疑問や不安を感じていたことが、大きな決め手のひとつになりました。
 この春、霞が関を去る若手キャリア官僚のニュースが話題になりました。最初は高い志を持って就職した官僚でも、労働時間や業務内容などを理由にキャリアを再考し、就職から数年で転職してしまう。この実態は霞が関にとって大きな痛手だと報道されていました。 たしかに近年、同じように就職から数年で退職した若手職員の話を耳に入れることが多くなりました。実際に辞めていなくても転職を検討している人、検討したことがある人、「仕事は続けたいけれど、ここでずっと働くつもりはない」と言っている人の話もよく聞きます。
 その中でとくに気になっているのが、もともと母数が少ない割には、女性の職員が辞めたという話を耳に入れる機会が多いことです。もちろん私が女性であるがゆえに女性の話が伝わってきやすいのかもしれませんし、統計をとったわけでもありません。しかし、個人的な印象で言えば、女性のほうが早い段階から転職の可能性を視野に入れている人が多いように感じます。 これは一体、なぜなのでしょうか。本来は女性活躍を推進する立場にあるはずの霞が関の現場で、なぜ多くの女性官僚がキャリアに悩み、転職を検討するのでしょうか。
 すべての女性官僚に当てはまるわけではありませんが、そこには単に「長時間労働で辛いから」という言葉だけでは割り切れない、女性ならではの事情もあるのではないかと考えています。
 私自身、「ここは女性として安心して働き続けられる職場ではない」と判断した経験があるからです。若手官僚、とりわけ若手の女性官僚が転職を考える理由について、私自身も経験した女性としての悩みにスポットライトを当てながら考えていきます。

モチベーションを奪われる職員

 私が官僚として働きながら日々感じていたのは、「就職前の私は何を勘違いしていたのだろう」ということでした。
 官僚の仕事は過酷です。夕方からが本番といっても過言ではありません。国会の会期中には、夕方に通告された質問に対する回答をその日の夜から翌朝にかけて作成することもしょっちゅう。法改正に携わるチームに配属されれば、数ヶ月のあいだ毎日のように終電帰りや深夜残業が続きます。
 多忙な時期には土日祝日や年末年始を返上して職場に泊まりこみ、月200300時間の残業をこなしている職員もいました。ここまではいかなくとも、月100時間前後の残業を数ヶ月以上に渡って続けている職員は決して珍しくありません。
 しかも、長時間の残業をしながらこなす業務は、有意義なものばかりではないのが現実です。国会対応における「待機」など、時間を費やす意味を感じづらい業務もあります。また長時間労働の割に給料が高いわけでもなく、残業代が出る保証もありません。
 同学歴・同年代で同じくらいの激務をこなしている人と比べれば、恵まれているとは言いがたい待遇です。こうした状況に疲弊してモチベーションを奪われる職員は男女問わず少なくありません。

深夜にベビーシッター

 こうした光景を目にして、私の中で不安としてわだかまったのは、やはり結婚・妊娠・出産・子育てと仕事の両立の難しさでした。
 「長時間労働の霞が関にいる限り、家庭とキャリアの両方を充実させるのは不可能なのではないか」という不安は女性官僚に重くのしかかります。当たり前ですが妊娠・出産は女性にしかできませんし、男性の家事・育児参加が叫ばれる昨今でも、負担は女性に偏っているのが日本の現状ですから。
 実際、知り合いの女性職員には、睡眠不足とストレスで生理がこなくなった人がいました。夫婦ともに官僚で、繁忙期には深夜にベビーシッターを呼んでいる家庭の話も聞いたことがあります。霞が関で働きながら結婚~子育てにおけるあらゆるハードルをクリアするには、高いモチベーションと体力・精神力、パートナーの理解と協力体制、周囲の手厚い支援は最低限必要でしょう。
 もちろん国家公務員は、制度面だけを見れば支援策が整っているほうかもしれません。産休・育休はもちろん取得できますし、子どもが小さいうちは時短勤務、超過勤務の免除・制限、深夜残業の制限といった制度を利用できます。フレックス制度もあります。しかし期間が限られているものが多く、決して十分とはいえないと感じます。また人員不足のため、制度があっても実際には活用しづらいケースもあると耳にしました。 時短勤務ができたのはいいものの、出産前に担っていたような政策に中心的に関わる仕事が回ってこなくなり、国家公務員として働く意味を感じられなくなった人もいます。
 もちろん、すべての女性が結婚や子育てを希望しているとは限りませんし、「結婚して子どもを産み、母親になることこそが女性としての幸せだ」というのは今では数多ある価値観のうちのひとつでしかありません。
 しかしながら、実際にどのような選択をするかは別として、さまざまな可能性を考えている女性からすれば、霞が関で働き続けることはリスクに見えてもおかしくありません。少なくとも私には、リスクに見えました。

心身を消耗させるだけで20代が終わってしまう…

 いずれ結婚し子どもが生まれた場合、家事や育児と両立できるのか。それ以前に結婚のことを考えたり結婚に向けて行動したりする時間的・精神的余裕やエネルギーがあるのか。多忙な仕事に理解があり、サポートしてくれるパートナーを得られるのか。過酷な勤務を続けているのに、子どもを産める健康な体でいられるのか。不妊治療が必要になったら仕事をしながら取り組めるのか……。
 「長時間労働で辛い」ことは、単純に心身がもたないという問題にとどまらず、自分の人生の選択を狭めるリスクを孕んでいるように思えたのです。自分の大切な20代が、心身を消耗させるだけで終わってしまうような気がしました。就職前は、ここまで深くは考えていませんでした。

 「就職前の私は、何を勘違いしていたのだろう」――これは自分の経験、そして周囲の様子からしても、女性官僚が就職後、数年してから抱きがちな思いであるように感じます。
 就職前、私はキャリアのことで頭がいっぱいでした。働くことへの期待、公務員として、そして働く女性として活躍することへの希望。プライベートについては漠然と「なんとかなるだろう」と思っていました。
 仕事も家庭も子育ても私ならどうにでもなる。大学までは、学業をこなしてきたように、きっとうまくやれるはずだ、と。しかし現実は違いました。実際に働き始めてみるとどうにもなりそうにない気配に気づきます。
 思った以上に官僚の働く環境は厳しいし、人生を捧げたいと思えるほどのやりがいも見出せない。普通に働くだけでもギリギリの状態という人が大勢いるのに、子育てが加わるなんて想像もつかない。なんとかなると思っていたけど自分には無理そうだ。こんなはずじゃなかったのに……。

 友人の結婚・出産の報告を耳にすることが増え、ようやく自分ごととして考えるようになった段階で、これからどうしようかと悩む人もいることでしょう。このままこの仕事を続けていていいのか、気持ちは揺らぎます。

ロールモデルがいない

  ここで、「それでも家庭と両立しながら働いている女性官僚がいるではないか。気持ちと頑張りでどうにでもなるだろう」と考える方もいるかもしれません。
 しかしながら、その「気持ち」や「頑張り」はすべての女性官僚に当てはめて考えてもいいものでしょうか。また「気持ち」と「頑張り」でどうにか両立しているように見える人は、本当にそれだけで上手く回せているのでしょうか。霞が関には現実的にめざせそうなロールモデルが少ないという点も、若い女性職員が将来像を見出しにくい要因のひとつになっていると考えます。
 政府は「女性活躍」を進めてはいますが、それはここ数年の取り組みであり、以前は女性の登用人数そのものが少なかったことを踏まえれば、組織に残っている女性が少ないのは仕方がないことかもしれません。
 しかしながら、私見では、現在の霞が関に管理職相当で残っている女性こそがイレギュラーなケースであり、ロールモデルにはなり得ないのではないかと思っています。「私にもできそう」という希望や安心感を与えてくれるロールモデルが滅多に存在しないのです。
 たとえば結婚していない、または結婚していても子どもがいないケースなら、結婚・子育てを視野に入れている女性職員のロールモデルにはなりづらいでしょう。また結婚・子育てを経験している職員でも、「実家や夫の支援が手厚い」「仕事に強いやりがいを感じており、割り切ってベビーシッターや深夜保育にお金をかけている」といったケースの場合は、これらの条件をクリアするのが難しい女性にとっては現実的に感じられず、良いロールモデルにはなりません。
 若い女性職員が安心して働き続けるためには、強靭なスーパーウーマンや恵まれた環境にいる女性の事例ではなく、だれでもそこそこ頑張ればたどり着ける「普通」のケースが必要です。
 私自身、当時も今も子どもはいませんが、子どもができても実家が遠いため親の支援を受けるのは困難であり、また子どもを預けて夜遅くまで残業をする気にはならないだろうと考えていました。そして少なくとも在職中には自分にもめざせそうなロールモデルには出会えませんでした。
 組織が変わらない限り、自分がだれかのロールモデルになれるとも思いませんでした。いろいろなものを犠牲にしてまで熱意を持って仕事に向かえる自信もなく、「10年後、20年後にもこの職場で働く未来は見えないな」と就職当初に思ったのを覚えています。
 いずれ退職するならキャリアアップにこだわる必要もないし、むしろ若いうちに転職して別の場所で経験を積み、将来のキャリアやプライベートの選択肢を広げよう。そう考えるのは、女性にとってひとつの合理的な判断ではないでしょうか。

空転する「女性活躍」

 前述の通り、政府は女性活躍推進を進めていますが、それも十分とは言えません。
 私が官僚として働き始めた時期は、ちょうど女性活躍推進が謳われ始めた時期と重なります。政府が先頭に立って女性登用を推進するため、霞が関においても女性の採用人数が大幅に増加しました。 内閣官房が公表したデータによれば、国家公務員試験を経て採用された職員のうち、女性の占める割合は平成26年度から27年度にかけて26.7%から31.5%に上昇し、総合職にいたっては23.9%から34.3%と4割以上も増加しています。私が所属していた官庁にも同様の傾向があり、30人弱の同期のうち女性は10名を上回っていました。
  しかしいざ就職してみてわかったのは、少なくとも私の目から見た限りでは、政府は「女性登用」を推進しているだけで、本当の意味での「女性活躍」を推進できているわけではないということでした。
 その中身はこれまで見てきた通りです。採用した女性の将来をしっかりと考えないまま、受け入れる人数だけ増やした形です。

スーパーウーマンじゃなくても続けられる職場に

 このように女性官僚を取り巻く状況には厳しいものがあります。今回挙げたもの以外にも、月経にまつわる問題など、過酷な環境への適応を難しくする女性特有の事情を抱えている職員は少なくないでしょう。男性ばかりの職場ではこうした悩みは相談しづらく、「相談しても心から理解してくれるはずがないし、弱いと思われて評価が下がるだけだ」と考えてひとりで苦しんでいる人もいると思います。 しかし大学時代まで男性と渡り合って成功を収めてきた女性の中には、私がそうであったように「自分になら何でも乗り越えられる」と思いこみ、仕事内容だけを見て就職先を選ぶ人も少なくありません。説明会で相手がスーパーウーマンとは知らずに話を聞き、「私もきっと大丈夫」と考える学生もいるかもしれません。その中には、本当に「大丈夫」な未来のスーパーウーマンもいることでしょう。
 でも、だからといって、すべての女性が同じようになれるわけではないのです。だれもが強いわけではないし、仕事へのモチベーションを高く保てるわけではない。強いだけではどうにもならない問題もあるし、人生における仕事の立ち位置だって価値観だって、刻一刻と変わっていく。
 身も心も強靭でなければ、あるいは大きな犠牲を払ったり、手厚い支援を受けたりしなければ残れないような組織では、今後もロールモデルになりそうでならない女性が残っていくだけでしょう。
 就職当初、男性職員に「きみたちが女性職員のロールモデルになればいいんだ」と言われたことがありますが、これほど無責任な言葉はないと感じます。環境を改善することなく、耐えて耐えて耐え忍んだ女性や恵まれた環境にある女性をロールモデルとして崇めても、女性職員へのプレッシャーがますます強まるだけです。
 政府はやみくもに採用人数を増やすのではなく、採用した女性が安心して働き続けられる環境とは本来どのようなものなのか、本当のロールモデルを作るためには組織がどう変わるべきなのか、真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。
 本来、国の政策を考えて実行していくのはやりがいがあり、面白い仕事のはずです。それが就職後、あらゆるマイナス面によってかき消されて見えてしまうのは、男女に関係なく本当にもったいないことだと感じています。
 「日本をもっと良い国にしたい」「利益にとらわれない仕事がしたい」 そんな強い思いを抱いて就職するすべての若者の熱意が生かされ、また自分自身の心と体も大切にしながら働ける組織に変わっていくことを強く願っています。

奥村 まほ

 

 

 

 

58-*104 官僚女子もつらい―結婚、出産、育児

NHK NEWS WEB 「厚労省の深夜勤務」報道に続いて

 

結婚したい、子どもも欲しい、仕事も続けたい。つきまとう不安。働く女性たちが抱える悩みは、官僚も例外でないようです、、、。「NHK NEWS WEB」が5月30日報道。

今、改めて論じませんか?働き方改革、とりわけ女性の「結婚したい、子どもも欲しい、仕事も続けたい」の当たり前の要求が当たり前に実現できる労働環境、社会環境について。

 ☟ここをクリックしてください

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190530/k10011934731000.html




 

58-103 厚労省で妊産婦が午前3時まで

働き方改革はやはりまずは霞が関から

厚労省で妊婦が深夜3時まで残業!働き方改革はどこに…

NHKNEWSWEBが報道(5/16

働き方改革の旗振り役なのに妊婦が午前3時まで!・職場で倒れた人も・時間外の在庁が100時間超 なんと374人!!・人事院に直撃!! 何で休めないの?等々

ここをクリックしていただければ、閲覧できます

ttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011918311000.html

報道を受けて、5月21日参議院内閣委員会で日本共産党田村議員が国会で問題点を指摘 「根本に人員不足が!」

ここをクリックしていただければ、画像と音声付で閲覧できます(田村智子議員HP 画面右「高3向けギャンブル・・・」の画像部をクリックしてください)


 

58-100 政府・財界新たに「死ぬまで働け」論を展開

日は(5月29日)「霞が関電話相談ダイアル」開設日です。真の働き方改革を皆で考え、論じませんか?

長時間・過密労働、不安定雇用・低賃金が官民問わず広がる中で、真の働き方改革が今こそ求められています。しかし政府財界はまさに「働きバチのように働け!」の新たな動きを見せています。以下の文書は労働情報紙「連合通信」(2019521日付)の記事です。重要な指摘もあります。是非お読みいただき本HPに「働き方改革」に関わる意見をお寄せいただければお思います。(東京国公事務局長:植松隆行)

 

「雇用安定は無理、死ぬまで働け」政府諮問会議委員らの思惑

政府の各諮問会議の方針決定を前に、各界関係者による発言がニュースをにぎわせている。「終身雇用」の否定、副業・兼業促進のための規制緩和、 70歳までの継続雇用と年金支給の 70歳への繰り下げ――などだ。そこからは経済界と現政権が強く求めてきた「雇用の流動化」と、体が動く限り働かせる「終身労働」ともいうべき未来像が浮かぶ。一方、経済の好循環実現を訴え、最低賃金の引き上げを求める意見も経済界から出始めている。


〇解雇の金銭解決制  

規制改革会議、解雇金銭解決制の推進 中西経団連会長

「終身雇用は限界」豊田章男トヨタ自動車「終身雇用、難しい」  

---有識者検討会、近く結論か---

〇副業・兼業の促進           規制改革会議  

・労働時間通算の現行規制をやめる

〇70歳雇用へ努力義務化        未来投資会議

〇年金支給選択制で70歳に繰り下げ      〃

〇最低賃金、「より早期に」全国加重平均千円に

規制改革会議  民間議員3人

 

 

 

 

 

 

 

 

 





またぞろ金銭解決制

「終身雇用は限界」「終身雇用を守っていくには難しい局面に入ってきた」。中西宏明経団連会長(日立製作所会長)や豊田章男トヨタ自動車会長が雇用の安定に背を向ける主張を行い、波紋を広げている。

 違法解雇でも金を払うことで労働者を追い出せる「解雇の金銭解決制」の導入は、昨年の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)で明記され、閣議決定済み。以降、「金銭解決」の看板を「金銭救済」に変え、厚生労働省の有識者検討会で法技術面の検討を進めている。結論が出れば、次は法制化の審議に移行する。 2000年代初め以降、日米経済界の要請で二度三度と浮かんでは、労働組合や世論の反対で消されてきた。推進派にとっては悲願の制度であり、実現に向けた下地づくりを試みているともみられる。

 副業・兼業促進が改革?

 副業・兼業促進の制度整備についても一定の方向性が示された。政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船取締役相談役)は4月、本業と副業先の労働時間を通算し、割増賃金の支払いを義務付ける現行規制の緩和を打ち出した。

 長時間労働から働き手を保護する仕組みが消える。本来、国がなすべきは、副業をしなくても暮らしていける環境整備のはず。働き手不足の解消と、賃金コスト抑制の継続という、一部経済界の要望に沿った政策といえる。

 70歳まで働け!年金はお預け?

70歳までの雇用の努力義務化と、年金支給の 70歳への繰り下げを選べる制度の導入も、政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)の議題に盛り込まれた。年金の 65歳支給への段階的移行が進むが、定年延長をした企業は廃止を含め2割に過ぎない。年金支給が 60歳から 65歳に繰り下げられたように、将来的に 70歳支給になれば、老いて働かざるを得ない人々の増加が懸念される。

 劣悪な雇用の象徴とされる日雇い派遣の〝復活〟も「副業を広げる」を理由に規制改革推進会議で画策されている。

最賃増加速の発言も

 最低賃金では、内閣府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)で、民間議員が「より早期に」全国加重平均が千円となるよう引き上げるべきとの意見表明を行った。加重平均千円は以前からの目標だが、到達を早めるよう求めている。  12年からの6年間の引き上げで、日本経済への消費刺激効果が9200億円に上るとの推計値を示しており、経済の好循環に対する最低賃金の効果を訴えてきた労働側の主張が実を結んだ形。ただ、年々広がり続ける最賃の地域間格差の解消には触れておらず、懸念も残る。

 

85-89 早出、お昼休みの仕事にも残業手当は支払わなくてはなりません

早出、お昼休みの仕事にも残業手当は支払わなくてはなりません

今朝(13日)の記事で「『働き方改革』で早出、お昼休みの仕事が増えていませんか」の表題を付けたために、その時間帯には残業代が、法令上支払われなくても良いことになっていると思われた方がいらして、2人の方から東京国公に問い合わせがありました。結論的に言えば「客観的に会社(=上司)からの指示」と判断されれば早出でもお昼休みでも残業代は支払われなくてはなりません。以下その解説です。

 

そもそも残業代(残業手当)とは何でしょう? それは、ひと言で言うと、「所定労働時間」を超えて働いたときに支払われ手当です。『所定労働時間』とは、労働者が働くこととなっている時間のことで、就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間から休憩時間を引いた時間のことをいいます。例えば、始業時間が900、終業時間が1800、休憩時間が1時間であれば、所定労働時間は「8時間」となります。この8時間を超えて働いた時間が残業であり、企業は残業手当を支払わなくてはなりません。

『所定労働時間』と共に残業問題では『法定労働時間』という言葉が聞かれます。『法定労働時間』とは、労働基準法第32条に規定されている労働時間の法定限度のことです。労働基準法第32条は「第1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時を超えて労働させてはならない。第2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日ついて8時間を超えて、労働させてはならない」とそれぞれ規定されています。この1週間または1日の労働時間の上限である『1週間40時間』、『18時間』のことを法定労働時間と言います。

労働基準法は最低限度の基準を定めている法律ですから、『法定労働時間』を超える労働時間を『所定労働時間』として定めることは許されません。つまり,「所定労働時間」を1日9時間や1週50時間と定めることは許されないということです。仮に、法定労働時間を超える所定労働時間を定めていたとしても,法定労働時間を超える部分は無効となります。上記の例でいうと、1日「9時間」と定めていたとしても法定労働時間である「8時間」が優先されるということになります。
なお、業種・規模によって1週間の法定労働時間が例外的に「44時間」が適用されるケースや「変形労働時間制」による例外もあります。

 

しかしながら、労働基準法において、割増賃金の支払いが義務付けられているのは『法定労働時間』を超えた場合となっています。
この割増賃金の支払いが義務付けられていない残業を「法定内時間外労働」といい、割増賃金の支払いが義務付けられている残業を「法定外時間外労働」といいます。ちなみに、「法定外時間外労働」の際に支払う割増賃金の割増率は、「25%以上50%以下の範囲」とされています。

 仮に所定労働時間が7時間、その日の労働時間が9時間とします。この場合残業を始めて最初の「1時間」は、「法定内時間外労働」となりますので割増賃金を支払う必要がありません。しかしながら、『法定労働時間』である8時間を超えてからは「法定外時間外労働」となりますので、9時間までの「1時間分」については、25%以上50%以下の範囲の割増賃金を支払わなければならないのです。【2019年5月13日】

 

58-69「働き方」法の施行でどうなる2―残業代ゼロ制度

『働き方』法施行でどうなる❷―残業代ゼロ制度

――――安倍内閣が強行した「働き方改革」一括法がこの4月から施行されます。この施行で何が変わり、何が問題で、何が活用できるのか再度検証してみました。今回は残業代ゼロ制度ですーーー

 

残業代ゼロ法は異次元の危険性

「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれる「残業代ゼロ制度」の導入は、その危険性はまさに「異次元」です。労働基準法で定める1日8時間などの労働時間の規制、休憩の規制、休日・深夜の割増賃金に関する規定がいっさい適応されなくなる制度ですから、使用者の「働かせ放題」という制度が導入されたわけです。

適用対象は年収1,075万円以上

「高度プロフェッショナル制度」が適用される労働者はいくつかの要件が必要です。➊「平均給与額の3倍」を「相当程度上回る」との規定に基づき、年収で「1,075万円」と設定されました。成果に応じて支払われる一時金や変動する手当は含まれずあくまで下限額です。なお1,075万円という数値は省令事項です。経団連は400万円を一貫して主張していますから、厚労省の判断という枠組みで変更という危険性を持っています。❷職種は「高度専門職」という事ですが、その対象業務はⅰ)金融商品の開発、ⅱ)資産運用(ディーリング)、ⅲ)アナリスト(高度な市場分析など)、ⅳ)コンサルタント(行動な考案・助言)、ⅴ)新たな技術・商品開発などの研究開発の5業種です。

「労使委員会」を実行性のあるものに

この制度の導入には、新たに設置する「労使委員会」で決定しなければならず、労働者側が反対すれば導入できません。「労使委員会」には事業所の労使同数が参加し、対象業務や対象労働者、「健康確保措置」などを、「5分の4以上の賛成」で決定しなければなりません。さらには対象労働者の「書面による同意」が必要です。いったん同意しても撤回できます。同意しないことや撤回したことに対する不利益な取り扱いも禁止です。

 なお使用者は年104日、4週4日の休暇付与が義務づけられ(月の始めと終わりにまとめて休ませで、あとは連続勤務することは認められません)ます。また「健康確保措置」として、次の4つから選ぶことが求められます。➀「11時間の勤務間インターバル(次の勤務までの休息時間保障)+「深夜業の回数規制・月4回以内」、➁「健康管理時間(在社時間)の上限(1ヶ月100時間又は3ヶ月240時間)、➂1年につき2週間連続の休日、臨時の健康診断(週40時間を超える在社時間が月80時間を超えた場合か本人が申し出た場合)

導入させずに廃止に!

いずれにしても、一定の要件を満たせば労働者を働かせ放題というのが「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ、残業代ゼロ制度です。こんな制度は導入させぬまま、廃止させるのが一番です。東京国公もこの点では、328日には官民共同行動実行委員会として民間の仲間と共に厚労省へ要請行動を行いました。公務の職場に導入させないためにも廃止させる闘いが重要です。

(2019年4月3日掲載)                 ↓財務省1月9日定時退庁日の午後10時

   

 

 

 

 

58-68 「働き方」法の施行でどうなる―残業問題

『働き方』法施行でどうなる―残業

――――安倍内閣が強行した「働き方改革」一括法がこの4月から施行されます。この施行で何が変わり、何が問題で、何が活用できるのか再度検証してみましたーーー

 

上限規制と罰則の制定が設けられたが、、、

この間の労働組合での闘いもあって、「働き方改革」一括法では時間外労働(残業)に初めて「罰則付きの上限」が設けられました。大企業は今年4月から、中小企業は来年4月からです。その主な内容は➊「月45時間、年360時間」が原則、❷「臨時的な特別の事情」があれば延長でき、その場合は「年720時間」、❸1ヶ月上限は「100時間未満」(休日労働を含む)、2~6ヶ月平均では「80時間以内」以上です。これまでは大臣告示で時間外労働の限度基準は「週15時間、月45時間、年360時間」などと定められていました。しかしこの基準には罰則はなく、「特別条項」を結べば何時間でも残業させることができました。この点では前進ですが、「月100時間」、「平均(2~6ヶ月)80時間」はいわゆる「過労死ライン」であり、労働者の健康と命を守るものではありません。

「抜け穴」があり、年720時間ではなく実際は960時間など

 年間720時間の上限と言いますが、この「年720時間」には休日労働が含まれません。休日労働を含めると、月80時間の時間外労働を12ヶ月続けることができ、

「年960時間」まで可能となります。しかも「研究開発業務」は規制の対象外となり、また最も過酷な労働を強いられている建設業や自動車運転業、医師は5年間も猶予され、適用は20244月からです。さらに建設業は一般労働者より緩い「960時間」であり、検討中の医師の上限は何と「年1860時間」(研修医や特定の病院など)というひどいものです。

36協定の重要さが改めてクローズアップ―改めて問われる労働組合の役割と組織化

「新ルール」にもとづき残業時間について「労使協定」(36協定―サブロク協定)の締結と労働基準監督署の届け出が使用者に義務付けられます。従って、「働き方改革」が叫ばれる今日、残業はあくまで「月45時間、年360時間」を超えた協定は結ばない職場での闘いが重要になってきています。この協定は、事業所の過半数を占める労働組合もしくは労働者の過半数代表との締結が必要となっているわけですから、労働組合の役割と過半数をめざす組織の拡大が今強く求められています。

 厚労省の指針の活用を

 厚労省の指針では「残業が月45時間を超えて長くなるほど業務と脳・心臓疾患との関連性が徐々に強まる」(3条)、「(時間外労働は)必要最小限にとどめるべき」(2条)「限度時間にできるだけ近づけなければならない」(5条)としています。また合法的な36協定でも「(使用者は)安全配慮義務を負う」(3条)としており、それらの指針を活かす運動が求められます。「合法だから問題ない」との主張が通用させない闘いこそ今求められています。

問題が多い国家公務員職場―36協定なしなど

人事院は国家公務員労働者も同様の規則が制定されました。国家公務員は労働基本権が制約され、労働基準法が適用されませんが、この間国家公務員の残業については、平成22年の「超過勤務の縮減に関する指針」に、年360時間、国会対応など「特段の事情がある」部署は年720時間の上限を定めました。

 労働基準法の改定に伴い、上限規制等は人事院規則に定まられました。超過勤務を原則「月45時間以下、年360時間以下」となります。平成22年の「超過勤務の縮減に関する指針」は、単なるガイドラインでしたが、法令上に上限を明記することで、各省庁が順守しなければならないようにします。しかし問題は労働基準法と同様問題があります。国会対応や外交など、繁忙期や業務量が左右されやすい部署で働く職員は「月100時間未満、年720時間以下」までの残業を認めることになっています。業務上やむを得ず残業が増える場合は規制の対象から外します。

 以下の業務を扱う職員は、各省庁の長が上限を超えて超過勤務をさせることができるようにします。
1 大規模災害への対応
2 重要な法令の立案
3 国際交渉その他の重要性・緊急性が高い業務

  職員の健康維持も強化として、各省庁の長は、職員に月100時間以上などの残業を命じた際に職員に医師の面接指導を受けさせ、超過勤務が月80時間を超える職員申し出たケースの面接指導も義務付けます。

 しかも36協定は結ぶことができない国公法上の規制は、「霞が関」に象徴されるような国家公務員職場の残業問題「ブラック化」がさらに深化しる恐れがあります。
【午後10時 1月9日撮影 国土交通省、財務省】
 

 

資料室(最新)

残業問題室” 


ようこそ「資料室」へ。このコーナーは、トップページに掲載したもののうち、資料的価値があるものをピックアップして、こちらに移しました。
是非ご活用下さい。不明な点は東京国公事務局長:植松までご連絡下さい。(整理番号が若い方が、本文は下段となります)


10、高橋まつりさんの死を私たちは忘れない

9、残業100時間OKなんて冗談じゃない!

8、えっ!残業上限月100時間OK???

7、霞が関残業問題が毎日新聞で報道「不夜城霞が関、改革の機運」

6、高橋まつりさんの過労自殺 を私たちは決して無駄にしない

5、霞が関の残業問題で内閣人事局要請を実施


4、「働き改革」をいうのであれば、長時間残業の上限規制を
閣議決定「一億総活躍プラン」全文.pdf  平成28年版過労死防止対策白書(全文).htm

3、2016年霞ヶ関残業アンケート結果


2、霞が関の残業ワースト3省・・・働かせ方がブラッキーではありませんか?



1、不夜城・霞ヶ関の残業実態を暴く
不夜城・霞ヶ関の残業実態を優しく暴く.docx











 

10、高橋まつりさんの死を私たちは忘れない

17春闘本番!「働き方改革」と称しつつの、安倍政権のニセ残業時間規制は許さない! 高橋まつりさんの死を、私たち官民共同行動実行委員会(東京国公・全国一般東京・JMITU東京・全印総連東京・千代田区労連)は絶対忘れない!だから本物の規制を! 【2017年2月14日記載】

 「国民要求、都民要求も正面に据え、『官』は『民』の要求のためにも、『民』は『官』の要求のためにも闘おう!」を合言葉に、リーマンショックの翌年、2009年から官民共同行動実行委員会を作り、共同して闘う春闘も今年で9年目を迎えます。その要求課題の中心の柱に私たちは、「数値目標を法文に入れた残業規制」を据え、今年も大いに奮闘します。

 そもそも労働基準法32条では、「18時間、週40時間を超えてはならない」と定めています。ところが同法の36条では協定を結べば(通称「三六(サブロク)協定」と呼ばれています)、18時間を超えても違反とはなりません。残業時間の上限は月45時間など「大臣告示」(1998年)があります。しかし問題があります。この「三六協定」に特別条項をつければ上限はありません。だから私たちは事実上残業時間に上限がないと同じということで、日本の残業時間は「青天井」と指摘しています。

 さて電通の高橋まつりさんの場合、さらに問題です。電通での残業の上限は月70時間でした。ところが高橋さんの場合、130時間を超える残業をしていましたが、「自己申告」したという残業時間は69.9時間で、月70時間以下としていたのです。こんなことは絶対に許されるものではありません。

政府も大きな国民世論の前に「規制」言わざるを得なくなり、「働き方改革実現会議」を中心に、「規制」のための検討を始めています。これがまた問題。その中身は月60時間、年720時間、繁忙期は100時間・2ヶ月平均で80時間というものです。これでは過労死ラインの合法化に他なりません。

私たちは、➀少なくても、大臣告示並みの上限を法制化し、きちんと罰則をつけること、②それを徹底させ、取り締まる労働基準監督官や、相談員、労災認定事務官の大増員(日本は欧米の2分の13分の1の人員配置というのが実態です)をはかる、③翌日の出勤まで最低連続11時間の休息を入れる、④根本問題である増員、以上を要求しています。それらの実現に向け省庁交渉、経営者交渉・懇談など17春闘では全力を尽くす決意です。

高橋まつりさんの死を絶対忘れてはなりません。

 

 

9、残業100時間OKなんて冗談じゃない!

100時間OKなんて冗談じゃない!安倍首相は、電通高橋まつりさんの死を法的に容認するのか!

 各種報道によれば、安倍晋三首相は3月13日、首相官邸で経団連の榊原定征会長、連合の神津里季生会長と会談し、残業時間の上限について「(月)100時間未満」とする考えを示したということです。

冗談ではありません!まさに過労死ラインである「80時間(2カ月平均)~100時間(1カ月)」もの長時間残業に法的お墨付きを与えるものです。「電通の高橋まつりさんの悲劇を繰り返してはならない!」、圧倒的多数の労働者国民の声を、逆手にとっての「働き方改革」です。

 首相「裁定」は、繁忙期の月間上限について経団連と連合の間で意見が平行線をたどったのを受けて出されました。首相は「100時間未満とするようお願いした」ことを明らかにしたとのことです。

 政府は残業時間を年間720時間とする案を示しており、月の上限も100時間まで認めるものです。720時間は、現在の残業の限度基準=大臣告示(年360時間)の2倍。月100時間は、限度基準(月45時間)の2倍以上で、間違いなく過労死ラインの水準です。

11時間インターバルも見送り

 さらには退社から次の出社までの一定時間をあける「インターバル規制」も見送られたとのことです。

 当HPでも何回も確認し合いましたが、繰り返します。現在残業時間は大臣告示(時間外労働の限度に関する基準-平成 10年労働省告示第 154 号示-)で、月45時間、年間360時間です。残業時間80時間とか100時間の「過労死ライン」は、「化け物」のような36協定の特別条項の存在があるからです。この「化け物を退治しろ」が圧倒的多数の国民の声であり、この声で始まったのが「残業上限規制」の論議だったはずです。このような働き方改革は絶対に阻止しましょう!

高橋まつりさんの母「強く反対します」(3月14日付しんぶん赤旗)

 過労自殺した電通社員、高橋まつりさんの母幸美さん(54)は13日、1カ月100時間の残業を容認する案に対し、「過労死遺族の一人として強く反対します」とのコメントを出しました。「長時間労働は健康に極めて有害なことを政府や厚生労働省も知っているのに、なぜ法律で認めようとするのでしょうか」と批判しています。

この日(13日)の厚労省=残業80時間超1756事業所・悪質ケースに是正勧告

 厚生労働省は13日、長時間労働が疑われる企業7014事業所に対して昨年11月に重点監督を実施した結果、1756事業所(25%)で「過労死ライン」を超える月80時間以上の残業が確認されたと発表した。また、18歳未満の労働者に原則禁止の時間外・休日残業をさせていたコンビニなど悪質なケースに対して、是正を勧告した。

 同省は残業時間が「月100時間または2~6カ月にわたって月平均80時間」を超えると過労死のリスクが高まると位置づけている。1756事業所の内訳は、月80時間以上100時間未満=560▽同100時間以上150時間未満=939▽同150時間以上200時間未満=205▽同200時間以上=52。他に未払い残業が459事業所あった。

 是正勧告を受けたコンビニは、18歳未満の1人に最長で月79時間の残業をさせ、休日の割増賃金も払っていなかった。また、従業員の約2割に当たる23人に最長で月160時間の残業をさせていた電機メーカーの事業所にも是正を勧告。この事業所では、実際の労働時間が従業員の自己申告より最長で月70時間多かったという。

 

8、えっ!残業上限月100時間OK???

えっ!残業上限100時間OK???

長時間残業問題で政府が本格議論開始

政府は「働き方改革」と称して、残業時間の上限を年720時間、月60時間、繁忙期は月100時間まで認め、2ヶ月平均では月80時間の「制限」を設けるとの検討を本格化させました。

21日に行われた「働き方改革実現会議」から本格議論が開始です。報道によれば、安倍晋三首相は「時間外労働の限度が何時間かを具体的に定めた罰則付き法改正が不可欠」と述べ、また実現会議では上限を設け罰則つけることで一致したとのことですが、政府の検討内容は、「過労死ライン」の法的追認と言っても過言ではないものです。しかも長時間残業が蔓延している運送業や建設業などの職種は施行時期を遅らせるなど、猶予策を検討するそうですからお話しになりません。

そもそも法は18時間週40時間→大臣告示の残業上限は月45時間が原則→特別条項付き協定で「青天井」

現行の法定労働時間は週40時間、一日8時間までです。しかし労働基準法36条にもとづく「三六(さぶろく)協定」を結べばこの時間を超えて働かせることができます。大臣告示による残業時間の上限は月45時間、年間で360時間です。ただし特別条項付きの協定を結べば、「青天井」で残業をさせることができます。私たちはこの「特別条項」という「抜け道」は廃止し、上限は最低でも大臣告示の範囲を要求します。【2017年2月3日】記載

 

         過労死促進の大企業三六協定の内容

 下表はJCM(全日本金属産業労働組合協議会)の資料から赤旗編集部がまとめ報道したもの(2015216日)です。協定自身が「過労死ライン」です。なお経団連現会長の東レは年1200時間とのこと。

大企業の三六協定と実際の労働時間(2014年)

 

三六協定特別条項上限

実際の年間残業時間

年間実労働時間

年間

トヨタ

80時間

720時間

253時間

1999.70 時間

日産

80時間

540時間

230時間

1984.00時間

マツダ

80時間

750時間

309.82時間

2078.86時間

三菱自工

80時間

720時間

349.82時間

2124.38時間

日立

150時間

 

358時間

2091.70時間

東芝

120時間

960時間

395.50時間

2091.90 時間

富士通

100時間

720時間

233.20時間

1975.90 時間

三菱電機

105時間

 

414時間

2162.40時間

NEC

3ヶ月360時間)

960時間

198.10時間

1919.90時間

新日鉄住金

80時間

750時間

333.40時間

2089.30時間

シャープ

80時間

750時間

195.50時間

1919.10時間

JFEスチール

100時間

840時間

313.70時間

2049.70時間

三菱重工

3ヶ月240時間)

720時間

395.80時間

2150.30時間

川崎重工

80時間

540時間

303.40時間

2078.30時間

IHI

200時間

800時間

279.60時間

2061.20時間

住友重機械

140時間

720時間

325.20時間

2085.70時間

三井造船

100時間

700時間

346.60時間

2107.20時間

   
三六協定に係る諸規則(厚労省のホームページから)↓ここをクリックして下さい

時間外労働の限度に関する基準(厚労省).pdf
2017年1月17日厚労省が公表(長時間残業が疑われる事業所への調査結果-監督・指導結果).docx ⇚整理し東京国公事務局でまとめたもの
指導監督結果.pdf ⇚表でまとめたもの


 

7、霞が関残業問題が毎日新聞で報道「不夜城霞が関、改革の機運」

毎日新聞12月26日(月)朝刊25面の記事(「くらしナビ ライフスタイル」「はたらく」)より

不夜城霞が関、改革の機運

  長時間労働、同一労働同一賃金など九つのテーマで議論が進む政府主導の働き方改革。深夜になってもビルの明かりが消えず「不夜城」と称されていた政府の足元、霞が関の公務員たちの働き方はどうなっているのだろうか。取り組みを探った。

 2014年6月、「持続可能な霞が関に向けて」と題した働き方の提言が、11人の女性有志から内閣人事局長に提出された。「勤務時間外に対応せざるを得ない業務がある」ことに入省10~20年目のキャリア女性の大半が不安を抱えている現状を伝え、価値観の変革▽テレワーク▽国会質疑関係業務の改善--など10項目を提言した。

●残業代不払い42%

 霞が関国家公務員労働組合共闘会議によると、15年1~12月の月平均残業時間は36・7時間。過労死ラインとされる月80時間以上の残業も9%に上った。国家公務員の残業代は事前に予算で決められているため実際の労働時間が予算の枠内に収まらないケースもあり、42・4%に残業代不払いがあった。

 長時間労働が常態化している職場では、定時まで働くフルタイム勤務なのに、まるで制限勤務であるかのように見なされる。成長する機会は失われ、子どもが大きくなってもキャリアは取り戻せない。今年度採用した国家公務員のうち女性は3割超。ライフステージの変化を迎える女性や共働きの男性が増えてきたことが「提言」の背景にある。

 提言書の策定に関わった総務省秘書課の辻恭介企画官(40)も、かつては「定時を過ぎてからが本番」と長時間労働を当たり前に受け入れていたうちの一人。だが経済産業省で働く妻とともに3人の男児を育てる今は、週2日は辻さんが子どもの保育園の迎えを担当するため、午後6時15分の定時で仕事を切り上げる。「働き方改革は配慮や福利厚生という目線ではもう追いつかない」と実感している。

 総務省は14年8月から全職員を対象にテレワークを導入しており、辻さんも利用している。一部の部署では、民間企業が提供するシェアオフィスを利用したサテライトオフィス型テレワークも実証実験中だ。政府は20年度までに全府省庁で必要な時に必要な人がテレワークできるような働き方の定着を目指すロードマップも策定しているが、霞が関全体の利用率は依然低く、現在は官邸勤めの辻さんの妻もテレワークはできない。ただ辻さんは「組織や個人によって考え方に温度差はあるが、霞が関でも働き方改革の必要性を理解する人は着実に増えてきた」と指摘する。

●若手から変革求め

 下から働き方を変えようという機運も出てきた。経産省で先月、育児中の職員によるランチタイムを利用した交流会「ランチケーション」が開かれた。仕切りは、広告大手博報堂の子育て中の女性社員有志が発足させた「博報堂リーママプロジェクト」。リーママは「サラリーマンママ」の略だ。グループごとに分かれた働き方を考えるディスカッションで現在の働き方の問題点を列挙し、解決策を話し合った。男性職員からは「仕事の完成度は8割を目指す」「仕事の7割を捨てる」といった業務削減案が提案された。

 経産省には育児中職員の任意グループ「パパママクラブ」があるが、メンバーが固定されがちで男性の参加は少なかったという。企画した経産省秘書課の西村栄利子課長補佐は「短時間で効率的に意見交換ができ、刺激を受けたと好評だった。男性を巻き込んだ話し合いにできたことが良かった」と話す。

 ワーク・ライフバランス社の小室淑恵社長は「霞が関は日本の長時間労働のピラミッドの頂点にある。行政との取引がある民間企業ほど長時間労働になる傾向がある」と日本の現状を紹介。その上で「変化を求める若手の動きは好機だが、それだけでは本質的な変革に結びつかない。部下の育成や生産性を向上させた管理職を評価する仕組みを作ることが必要だ」と指摘している。【中村かさね】

【経産省で行われたランチケーションで、挙げられた働き方の問題点。参加者の3割は男性だった】

 

 

 

6、高橋まつりさんの過労自殺 を私たちは決して無駄にしない

電通で起きた高橋まつりさんの過労自殺は労働者に、労働現場に、そして社会に大きな衝撃を与えました。とても対岸の火とは思えません。私たち東京国公も「不夜城・霞が関」問題を抱えています。高橋さんの死を無駄にしないためにも、大いに議論し合い、悲惨な過労死が起きない日本社会を一緒に作りましょう!

 東京国公メール機関紙「東京国公だより4号」は3ページ立てで、電通での過労死問題と過労死の根絶を呼び掛ける特集を組みました。是非東京国公だより4号を開いていただき、まずはお読みになっていただきたいと思います。【2016年10月24日記】

東京国公だより2016年10月24日16-4.pdfy ⇚クリックを

 

タイトルは「電通―過労死・自殺 1991年・2013年にも悲劇 ― 危ない霞が関 月80時間以上9%、100時間以上は4・9%」

中見出し↴

希望に胸を膨らませて仕事に励んでいた若い女性が・・クリスマスに・・この間パワハラも

・自己申告制だった労働時間は虚偽記載の強要?労基署の認定は「三六協定70時間」を大幅に超える100時間以上

・2013年にも過労自殺が発生 昨年8月14には是正勧告

・さらに1991年8月にも過労自殺 2000年3月に最高裁で企業責任が認定! 靴に注がれたビールを飲まされるパワハラも

・安倍首相は本気で「長時間労働」是正を考えるのなら、三六協定上限規制法案の制定と「残業代ゼロ法案」の撤回を

・公務の職場、霞が関も危険水域—安倍首相はまず足元から正せ! 過労死予備軍・約10%、3000人

・高橋さんの死を私たち自身の問題としてとらえ、長時間残業をなくし「日本を世界一労働者が働きやすい国」にするために大奮闘を

 

 

5、霞が関の残業問題で内閣人事局要請を実施

2016年12月15日 霞が関の残業問題で東京国公、霞国公が内閣人事局要請

内閣人事局への要請書.docx ⇚クリックを
東京国公添田副議長、全厚生本省田口委員長、伏木野東京国公副議長、上村東京国公常任幹事、植松東京国公事務局長で要請。本質的問題点と現状認識で一致。



 

4、「働き改革」をいうのであれば、長時間残業の上限規制を

「働き方改革」を言うのであれば、まずは電通に象徴される「異常な働かせ方=死に至らしめるような長時間残業」を止めさせること、非正規労働者の正規化への推進を具体的に実践することこそ最優先に【2016年11月22日記載】

 201662日、安部政権は「一億総活躍プラン」を閣議決定し、「最大のチャレンジは働き方改革」と位置付けました。「長時間労働の是正」を言い、「同一労働同一賃金」の言葉も並べています。しかしそれが本物かどうか、いささか疑問もあります。安倍首相が本気で長時間労働を是正するというのであれば、数値目標を明確にし、労働基準法の法文にそれをしっかり盛り込む、その監視のための体制---具体的には労働基準監督官も大幅に増やす、「仕事させ放題」を容認する残業代ゼロ法案は直ちに撤回することからまず始めることです。残業しなければ生活できない低賃金構造にもメスを入れる必要があります。「プラン」は抽象的な語句を飾るだけで、実効性ある方針は見当たりません。

 「同一労働同一賃金」も、「正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保する」(一億総活躍プラン本文)と強調しています。これでは「総非正規化」を狙っているのではと勘ぐりたくなるというものです。

 

政府のお膝元・霞が関はブラックホール

 政府のお膝元、中央省庁が集中する霞が関はどうでしょう。夜遅くまで「灯」がともる「不夜城」は健在です。霞国公、東京国公が今年3月に行ったアンケート結果では、年間換算で一人平均440.4時間という数値です。過労死危険ラインとされる月80時間以上残業の職員は9.0%、100時間以上が4.9%です。霞が関には32千人の職員が働いているので、約3千人の「過労死予備軍」が存在するといっても過言ではありません。実際「現在過労死を感じている」職員が3.1%、「過去に感じたことがある」は24.5%という結果が出ています。

 国家公務員は36協定すら結べません。しかも人事院の指針では、「他律的業務に関わる(国会、海外、法令関係など)職員」については、年間720時間が上限めどとされています。これも問題です。月間ですから、月80時間、100時間の連続を容認しているようなものです。

 私たちは、「官」も「民」も健康で安心して働ける労働環境を構築することを目指しています。2009年以来続けられている官民共同行動実行委員会は17春闘でも立ち上げられます。スローガンは「国民の要求も正面に据えながら、官民の共同で憲法を暮らしに活かそう!」です。電通の高橋まつりさんの死を他人事とせず、本物の「働き方改革」を私たちの手で実現しましょう!

閣議決定「一億総活躍プラン」全文.pdf

平成28年版過労死防止対策白書(全文).htm



 

3、2016年霞ヶ関残業アンケート結果

不夜城霞が関 長時間残業問題ー第3

これが霞が関に働く労働者の長時間残業の実態だ! アンケート結果の全報告 ↴
霞が関残業問題アンケート集約結果.pdf
第24回残業実態アンケート結果について.pdf
不夜城霞が関(残業ワースト3省庁).docx

 

2、霞が関の残業ワースト3省庁

不夜城霞が関 長時間残業問題ー第2弾

24回霞国公残業実態アンケート 府省ワースト3

働かせ方がブラッキーではありませんか?霞が関は

 

霞が関平均

ワースト1

ワースト2

ワースト3

月平均残業時間

36.7時間

厚労省(厚生)

56.4時間

厚労省(労働)

53.7時間

経産省本省

46.8時間

80時間以上

残業者割合

 

9.0

 

厚労省(労働)

 

21.3

 

厚労省(厚生)

 

20.8

 

経産省本省

 

16.6

過労死の危機を感じたことがあるか

 

27.6

 

厚労省(労働)

 

50.6

 

厚労省(厚生)

 

42.4

 

経産省本省

 

38.8

国会対応で残業が多い

 

29.4

 

厚労省(厚生)

 

55.6

 

厚労省(労働)

 

50.6

 

農水省

 

38.0

残業手当に不払い部分がある

 

42.4

 

厚労省(厚生)

 

79.6

 

厚労省(労働)

 

76.5

 

経産省本省

 

75.1

「ゆう活」で残業が増加した

 

18.3

 

会計検査院

 

37.1

 

経産省本省

 

24.7

 

農水省

 

22.8


*厚労省(厚生)は、厚労省の旧厚生省、厚労省(労働)、厚労省の旧労働省

 

1、不夜城・霞ヶ関の残業実態を暴く

不夜城・霞ヶ関の実態を優しく暴く

中央省庁が集中する霞ヶ関ですが、昔から、誰がつけたか、ここは「不夜城・霞ヶ関」と呼ばれています。深夜まで煌々と灯がともり、職員が遅くまで仕事をしているからです。そんな省庁の一つに特許庁があります。
 以下(「不夜城・霞ヶ関の残業実態を優しく暴く」)は特許庁に働く職員で作る、全経済労組特許庁支部という組織が発行した組合新聞の記事を転載したものです。これを読んでいただき、公務員の現状の一端を知っていただければ幸いです。
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不夜城・霞ヶ関の残業実態を優しく暴く.docx